Webアプリ開発事始 第3回

TCP/IPネットワークとWebアプリケーションの基礎(3)
~IPアドレスと管理の仕組み
長谷川裕行
有限会社 手國堂

Webサービスの仕組み

Webアプリケーションの動作基盤はWebサーバーです。まず、アプリケーションではなく、一般的なHTMLデータがブラウザに表示される仕組みを把握しておきましょう。


- httpプロトコル -

Webサービスには、TCP/IPプロトコルの下で動作する、データ送受信のためのプロトコル――httpプロトコルを使用します。

httpは“HyperText Tranfer Protocol”の略で、文字通りハイパーテキストを送受信するための通信規約です。ハイパーテキストは、ご存じのとおりHTML(HyperText Markup Language)で記述された、俗に言うマルチメディア文書です。

Webデータ(HTML文書)を管理し配信するサーバーを、一般にWebサーバー、あるいはwwwサーバーなどと言いますが、動作しているプロトコルはhttpです。



- Webサーバーとブラウザのやり取り -

Webサーバーは、ネットワークを通じてクライアントにHTMLデータを送信します。その仕組みを、簡単に紹介しておきましょう。

(1) クライアントのブラウザでURLを指定すると、DNSサーバーが参照されてそのURLの示すコンピュータ(Webサーバー)のIPアドレスが判明します
例えば“http://www.technido.co.jp/index.html”と指定すれば、DNSサーバーによって“210.252.151.82”というIPアドレスが判明します。
(2) クライアントは、判別したIPアドレスのWebサーバーに接続します
上の例ではIPアドレス“210.252.151.82”のコンピュータです。
(3) クライアントのブラウザから、URLで指定したファイルを読み出す要求が送信されます
上の例では“index.html”です。ファイル名を省略した場合は、デフォルトのファイルが指定されたことになります。デフォルトのファイル名は、UNIXでは“index.html”、Windowsでは“Default.htm”が基本となっていますが、サーバーの管理者によって自由に変更できます。
(4) Webサーバーのhttpサービスが、ファイルの内容をクライアントに送信します
上の例では“technido.co.jp”というドメインにある“www”という名前のコンピュータがWebサーバーで、その中の“index.html”というファイルがクライアントに送信されることになります。
(5) Webサーバーから送られてきたHTMLファイルの内容を、クライアントのブラウザが読み込みます
ブラウザは、読み込んだHTMLの記述に従ってウィンドウ内に文字や画像を表示します。このように、Webサービスの基本的な信号のやり取りは、実に単純です。
図4:Webサーバーのデータがブラウザに送信される


あとがき

TCP/IPネットワークの基本であるIPアドレスとその管理の仕組み、それを使ったWebデータの表示される仕組みをざっと紹介してきました。Webアプリケーションも、この仕組みの上に成り立っています。次回以降説明していきますが、

クライアントのブラウザがWebサーバーに要求を出す
Webサーバーがクライアントに対してHTMLデータを送信する

という形は、Webアプリケーションでもまったく変わりません。


- 目次 -
TCP/IPとIPアドレスの管理
IPアドレスと名前の管理
IPアドレスの仕組み
IPアドレスとネットマスク
DNSとDHCP
WindowsネットワークとWINSサービス
Webサービスの仕組み
httpプロトコル
Webサーバーとブラウザのやり取り
あとがき

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