Webアプリケーションの実行基盤はTCP/IPプロトコルによって通信を行うインターネット・イントラネットなどのネットワークです。これを「TCP/IPネットワーク」と呼んでおきます。
- 知らなくても開発はできる?! -
Webアプリケーションの開発について知る前に、TCP/IPプロトコルについてしっかり理解しておかなければなりません。それは、Windowsアプリケーションを作るために、OS(つまり実行環境)であるWindowsの仕組みを知っておく必要があるのと同じことです。
現在のWindowsのアプリケーション開発では、コンポーネント・プログラミングが花盛りです。VisualBasic(以下、VB)を見れば分かるように、コンポーネントを組み込んでフォームに貼り付け、プロパティやメソッドを操作することが、プログラミングという作業の中心に位置しているように感じられます。
実際、極端な言い方をすれば、Windowsのメカニズムを何ひとつ――例えばプリエンプティブ・マルチタスクとか、イベントドリブン、メッセージキューなどの語を知らない程度に何ひとつ――知らなくても、そこそこ動作するアプリケーションを作れてしまえます。
パソコン教室でVBを教えている先生と話をしていて、「イベントドリブンって何ですか?」と尋ねられたのには、驚きました。教える側にすれば、今は“そういうもの”だそうですが、教えられる生徒の側はいい迷惑だと思います。
- 基本を押さえておくこと -
いずれWebアプリケーションも、簡便なツールで開発できるようになっていくでしょう。兆しは徐々に見え始めています。
しかし、Windowsプログラミングのようなコンポーネント化が進み、VBのような簡便な開発ツールが登場しない限り、実行基盤となるTCP/IPネットワークを理解する必要はなくなりません。
また、仮にそのような簡易な開発環境がWebで可能になったとしても、TCP/IPを理解しているかどうかは技術力の分かれ道となるでしょう。普段VBでコンポーネント・プログラミングをしていても、何かの時に――例えば、既存のコンポーネントでは対処できない機能を使いたいときなど――Windowsのメカニズムを知っているかいないかが、大きく影響してきます。
将来はともかく、少なくとも今この時点では、TCP/IPについて上辺程度に理解しているだけでは、Webアプリケーションの開発は難しいでしょう。最低限必要な基本事項を、まずは理解しておきましょう。
|
|
|