TCP/IPネットワークには、IPアドレスを管理する2つの重要なサービスが存在します。DNSとDHCPです。
- DNS(Domain Name System) -
IPアドレスと、それに割り振られた名前(ドメイン名、ホスト名)を結びつける役割を持っています。DNSサービスを行うコンピュータやソフトをDNSサーバーといい、ドメインには最低1つのDNSサーバーが必要です。
- DHCP(Dynamic Host Configuration Protocol) -
ホストがネットワークに接続したとき、そのホストにIPアドレスを割り当てる仕組みです。これによって、ホストの数がIPアドレスの数より多い場合に対処できます。
パソコンが電話回線を通じてプロバイダーに接続した場合も、プロバイダーのDHCPサーバーがパソコンに一時的なIPアドレスを割り当てています。
- DNSサービスの仕組み -
DNSサーバーには、IPアドレスとドメイン名・ホスト名の組み合わせがデータベースとして登録されています。
DNSサーバーに対してドメイン名やホスト名を告げ、それに対応するIPアドレスを返してもらう仕組みをリゾルバ(resolver)といいます。リゾルバはクライアント側で実行されるプログラムです。例えば、WindowsのTCP/IP設定で「DNSを使用する」よう指定すれば、コンピュータにはリゾルバが組み込まれます。
リゾルバはDNSサーバーを参照し、
名前→IPアドレス(正引き参照)
IPアドレス→名前(逆引き参照)
という変換を行います。これによって、ユーザーがブラウザに“www.technido.co.jp”と入力すれば、DNSサーバーから“210.252.151. 82”というIPアドレスが伝えられ、目的のサーバーに接続されるようになります。
文字による名前の指定は、DNSに対してだけ可能です。コンピュータの特定はあくまでIPアドレスで行われます。そのためDNSを参照しないで、ブラウザに“http://210.252.151.82”などとIPアドレスを直接入力することも可能です。
名前からIPアドレスを取得したり、IPアドレスから名前を取得したりすることを、名前参照の解決と表現します。一般に、ネットワーク内の名前参照の解決はホスト名とIPアドレスの組み合わせを記述したhostsファイルで行えますが、DNSはこれをサービスとして一元管理し、さらにインターネット上の他のDNSサーバーと連携して広範囲な名前参照の解決を行う機構となります。
図2:DNSの仕組み
- DHCPサービスの仕組み -
DHCPサービスでは、ネットワーク内のホストに対して一定の期間だけ、ネットワーク内で一意のIPアドレスを割り振ることができます。この期間をリース(貸し出し)期間と言います。これによって、IPアドレスの重複や未使用IPアドレスの管理を、すべてDHCPサーバーに任せることができます。
DHCPサーバーでは、接続したホストに対して、予め指定したアドレス範囲の値の中から、現在使われていない(ネットワークに接続されていない)IPアドレスを自動的に割り振っていきます。
但し、DHCPサーバーは、DNSとは無関係に稼働している点に注意する必要があります。
Webサーバーやメールサーバーなど、接続のたびにIPアドレスが変わってはいけないホストには、DHCPを使用しないで固定的(静的)にIPアドレスを割り当てます。DHCPサーバーがそのことを知らなければ、既に割り当てられているIPアドレスが他のホストに割り当てられてしまう場合があります。これを防ぐために、DHCPサービスでは割り当てに使用しないアドレスを指定しておく必要があります。
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