IPアドレスは4組の数値で構成されており、この値によってドメインとその中のホストを指定できるようになっています。
- オクテット -
ドメインとホストを特定するIPアドレスは、0~255までの数値4組を「.」でつないだものとなっています。例えば、以下のような感じです(数値は説明のための仮の値で、現実のIPアドレスとは無関係です)。
210.252.151.96
「.」で区切られた1つの数値を「オクテット」(octet)といいます。オクテットとは「6個1組」のことで、すなわち「8ビット」(1バイト)の値です。1バイトのデータは10進数で0~255までの256とおりの数値を扱えるため、オクテットを4個組み合わせれば
256×256×256×256=4,294,967,296
となり、およそ43億台のホストにIPアドレスを割り当てることが可能になります。
- ネットワークIDとホストID -
IPアドレスによって、インターネットに接続された膨大なホストの中から1台のホストを特定できます。先述したように、インターネットは多数のドメインで構成され、さらにそれぞれのドメイン内に多数のホストが存在しています。
そのためIPアドレスは、ネットワークを識別するネットワークIDと、その中の個々のホストを識別するホストIDの2つの部分に分かれ、簡単にドメインだけを指定したり、その中のホストを特定したりできるようになっています。
4組のオクテットのうちどこまでをネットワークIDとし、どこからがホストIDとなるのかの組み合わせ方は、ネットワークの規模によってA、B、Cの3つのIPアドレスクラスに分かれます。
表1が、IPアドレスクラスの分類です。表では、4組のオクテットの組み合わせを
w.x.y.z
という形で表しています。
表1:IPアドレスクラス
クラス |
A |
B |
C |
先頭オクテット(w)の範囲 |
1~126 |
128~191 |
192~223 |
ネットワークID |
w |
w.x |
w.x.y |
ホストID |
x.y.z |
y.z |
z |
最大ホスト数 |
16,777,214 |
65,634 |
254 |
- グローバルIPアドレス -
IPアドレスクラスはネットワークの規模(ドメイン内のホスト数)によって決まります。
インターネットに接続する際のネットワークIDは、国際組織のInterNIC※2から取得します。日本ではJPNIC※3が代行しています。この規則に則って割り当てられたネットワークIDを「グローバルIPアドレス」と呼び、世界で唯一・一意のIDとなります。
また、OCNなどのプロバイダーで提供されている低価格専用線サービスでは、クラスCのアドレスクラスで利用可能な254個のIPアドレスを、さらに組織ごとに細切れにして割り当てる、いわゆる「クラスC未満」のネットワークも存在します。
※2 Internet Network Information Center。割り当てと管理はNetwork Slutions社(http://www.networksolutions.com)が代行
※3 Japan Network Information Center(http://www.nic.ad.jp/)
- プライベートIPアドレス -
一方組織内だけで運用するイントラネットでは、InterNICへの届け出が不要なので、IPアドレスクラスを無視して、どのような形のIPアドレスを付けても大きな問題とはなりません。
しかし、それでは内部のネットワークから外部のインターネットに接続する際、同じIPアドレスの組織が既に存在していると支障が出ます。そこで内部のネットワークには、インターネットでは絶対に使われない値を設定することが、推奨されています。インターネットへの接続を考慮するネットワークでは、この規則に従ったIPアドレスを用いなければなりません。
「インターネットでは絶対に使われないネットワークID」を“プライベートIPアドレス”と呼びます。プライベートIPアドレスは、インターネットの技術標準を策定するISOCの中のIETFというグループが策定した文書RFC1918※4で表2のように3段階が定められています。
InterNICに届けられインターネットに接続されているネットワークには、この範囲のネットワークIDを持つ組織は絶対に存在しません。
表2:RFC1918によって規定されているプライベートIPアドレス
10. |
0. |
0. |
0 |
~ |
10. |
255. |
255. |
255 |
172. |
16. |
0. |
0 |
~ |
172. |
31. |
255. |
255 |
192. |
168. |
0. |
0 |
~ |
192. |
168. |
255. |
255 |
※4 ISOCはInternet Society、IETFはInternet Engineering Task Force、RFCはRequest For Commentsの略。ISOCは、150以上の団体と6000人を超える個人の参加する国際的なインターネット関係者の集まり。インターネットの普及、技術の標準化、技術提供などの活動を行っています。IETFは、具体的な技術の標準化などを行う組織。RFCはIETFが提案した技術文書群で、実質的な標準技術使用となっています
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