本題の前に ~インターネットとWebを正しく理解しておこう |
コンピュータ技術に携わっていなくても、インターネットやその利用技術であるWebについて知っている人はたくさんいます。しかしまた、誰もが詳しく理解している訳でないことも事実です。
- 今や当たり前のインターネット -
もはや、インターネットやWebの存在も、それらをビジネスに使うことも、ごく当たり前になっています。一般ビジネスマンにとっては、むしろ、これらを使えないことの方が問題であると言えるでしょう。
2000年の流行語大賞まで受賞した“IT”という言葉も、本来は「Information Technology」――つまり「情報(処理・管理)技術」のことですが、現在では「情報<通信>技術」と訳されるのが一般的です。
これは、ITの“I”が象徴する「情報(information)」の扱いが、一般的な情報インフラとなったインターネットやその技術を取り込んで究極的に個人化された携帯電話などに、大きく依存するようになったためでしょう。実際、ITを「インターネット技術」(Internet Technology)の略だと思っている人も、少なくないようです。
- インターネットと言えばWeb――という状況 -
インターネットはここまで当たり前の環境になりました。しかし、そのすべてを理解している人はそう多くありません。ほとんどの人(ここで言う「人」とは一般のエンドユーザー)は、”インターネット=Webページ”だと捉えています。
Webページのことも、「ホームページ」という間違った名前で呼ばれることがほとんどです(もう、和製英語として定着したようですが、誤解の元ですね)。この記事を読まれているみなさんに対して、いまさらこの誤解について詳しく説明する必要はないでしょう※1。
とは言え、コンピュータ技術に携わっている人でも、インターネットと聞けばWebを連想する――ということはよくあります。
※1 新聞では“HP”などと略されていますが、コンピュータ技術者なら「HP=ヒューレット・パッカード社」のことだと思うのが普通です
- 分かっているようで分からない… -
これまで、コンピュータ技術は「必要な人だけが知っていればよい技術」でした。そのため、一般の人にはよく分からない専門用語や隠語が流通しても問題とはなりませんでした。株に興味のない人が、株式の専門用語や符丁を知らなくてよいのと同じことです。
しかし、インターネットに関しては事情が違ってきました。一般の人がごく普通に利用する技術であるにも関わらず、そのベースにはこれまで一般ユーザーのあずかり知らなかった(はずの)コンピュータ技術が関与しているため、「分かっているようで分からない」「通じているようで誤解されている」といった状況があちこちで発生しています。
特に、最近はWeb上でアプリケーションを実行するための技術が広まり、ブラウザ上でアプリケーションを動かすことが一般的になってきました。本稿のテーマはまさにそれなのですが、本題に入る前に、その前提となる技術について理解しておきましょう。
- 新旧・玉石混淆のネットワーク技術 -
コンピュータ――特にネットワークや情報通信の世界は、いまだに誤解のかたまりのようなところがあります。まず、一般ユーザーはネットワークとコンピュータの関係、コンピュータとアプリケーションの関係などを完全に理解していません。これは、ある程度仕方のないことですが、残念ながらコンピュータ技術者の理解も、新旧・玉石混淆の状態です。
ネットワークと言えば汎用機によるホスト方式――と思っている人もいるでしょうし、逆にそういった世界をまったく知らない人もいます。技術を提供する側が混乱しているのですから、それを利用する側に正しい理解を求めるのは無理というものです。まずは、技術者の側が現状を正しく認識し、将来を見据えた技術と知識を習得しなければなりません。
かく言う私も、(当然のことながら)コンピュータや通信技術のことをすべて理解しているわけではありません。これから、みなさんと共に学んでいきたいと思っています。
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