簡単なサンプルプログラムを例に、Javaアプレットの開発手順とソースの特徴などを紹介していきましょう。
- Javaアプレットの実行 -
JavaアプレットはWebサーバーに保存されており、クライアントの要求に従ってアプレットのコード(中間コード)がクライアントに送信されます。アプレットを実行するのはクライアントのブラウザに組み込まれた仮想マシンです。
Javaアプレットの実行命令は、HTMLファイルに記述された<APPLET>タグによる指示です。例えばWebサーバーに“hello.class”というJavaアプレットが保存されており、これをブラウザのウィンドウ内で縦横387ピクセルの領域を使って実行させるには、HTML文書に以下のように記述します。
<APPLET CODE="hello.class" WIDTH=387 HEIGHT=387>
- Javaアプレットの作成手順 -
一般的なJ2SEを使った場合、Javaアプレットの作成手順は以下のようになります。サンプルの作成には、サン・マイクロシステムズ社のJ2SE 1.4.0を使いましたが、1.2~1.3でも同じ要領でコンパイルできます。
(1) |
ソースコードを記述する 一般的なテキストエディタを使って作成します。 |
(2) |
ソースファイルを保存する Javaのソースファイル名には拡張子“.java”を付けます。 |
(3) |
コンパイルする コンパイラはjavacというプログラムで、以下のようにコマンドラインからソースファイルを指定してコンパイラを実行します
javac <ソースファイル名>
これで、拡張子が“.class”となったアプレットが生成されます。
リスト1は、画面に“Hello Java world!”と表示するアプレットのソースです。 |
リスト1:Javaアプレット版“Hello world”プログラム(Hello.java)
- アプレット実行用HTML -
Hello.javaをjavacでコンパイルすると、アプレット“Hello.class”が出来上がります。これを実行するには、リスト2のようなHTML文書を作ります。
作成したHTML文書をブラウザまたはJ2SEに付属しているアプレットビューワ(appletviewer)で開くと、画面1または画面2のように表示されます。
アプレットビューワは、以下のようなコマンドラインで起動します。
appletviewer <HTMLファイル名>
リスト2:Hello.classを実行するためのHTML文書(hello.htm)
- アプレットにパラメータを渡す -
アプレットにはパラメータを与えることができます。パラメータは<APPLET ...>~</APPLET>間で<PARAM NAME>タグを使って、
<PARAM NAME=パラメータ名 VALUE=値>
という形でパラメータ名に値を割り当てます。
リスト3は、パラメータ“msg”で指定した文字列を画面に表示するアプレット“PutMsg.class”のソースです。パラメータはgetParameterメソッドで引数にパラメータ名を与えて取得します。
これをコンパイルして出来上がったPutMsg.classを実行するHTMLがリスト4です。(a)の箇所でパラメータ名“msg”を指定し、(b)の箇所でそれに“It is fine today!”という文字列を与えています。
リスト3:メッセージをパラメータで受け取って表示するアプレット(PutMsg.java)
リスト4:PutMsg.classを実行するためのHTML文書(putmsg.htm)
- 実行できない環境への配慮 -
すべてのブラウザがJavaアプレットを実行できる訳ではありません。設定によって、Javaプログラムを動作させないようになっている場合もあります。そこで、それらのブラウザが<APPLET>タグでJavaアプレットを動作する指定を記述されたHTMLを読み込んだ場合に、ユーザーに注意を促す必要があります。
<APPLET ...>~</APPLET>の間に通常のテキストや<IMG>など通常のタグを指定すると、それらはアプレットが実行できない場合だけ機能します。
例えば、Javaが実行できないときに画像“coution.gif”と「このブラウザでは、Javaアプレットは実行できません。」というメッセージを表示したいなら、以下のように記述します。
<IMG src="coution01.gif"
width="48" height="48" border="0"
align="left" alt="coution!">
このブラウザでは、Javaアプレットは実行できません。
Webアプリケーション開発用言語の基本とも言うべきJavaについて、その全体像と開発環境、Javaアプレットのサンプルを紹介しました。
Javaプログラミングの細かなテクニックを紹介することが本記事の目的ではないので、ソースの細部には深入りしないことにします。続いてJavaScriptやJSPのソース、開発手順などを紹介していきますので、それぞれの相違点と共通点を確認してください。
その後、Javaサーブレットによるデータベース・アクセス、IISとASPなど本格的な業務処理用Webアプリケーション開発の情報を取り上げていきます。
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