Accessで作成できるWebアプリケーションについて、もう一度整理しておきましょう。
- 静的HTML -
Accessのフォームまたはレポートを元にして、その内容をHTML化したファイルを生成します。単にデータをWebページとして表示するだけで、データの追加・更新・削除などはできません。操作も簡単で、Webサーバーを設定する必要もありません。
生成されWebサーバー上に保存されたHTMLファイルは、どのOSのどのブラウザからでもアクセスできます。
データベースと有機的に連携しているわけではないので、元のデータが変更されたら、再度HTMLを生成し直さなくてはなりません。
名簿や過去のデータを分析した結果など、あまり頻繁に変更されないデータを、一覧表示したい場合に役立ちます。日ごとの営業成績や在庫情報など、頻繁に書き換えられるデータの表示には向いていません。
- サーバ生成HTML -
IDC/HTX形式とASP形式の2とおりがあります。どちらも、Windowsのインターネット・サーバー機能であるIISを通じ、クライアントのブラウザにHTMLデータを送信します。
IDC/HTX形式は旧来の方式で、テーブルやクエリの内容を一覧表として表示します。日付や氏名などをキーにクエリを使ってレコードを抽出し、それを表示するような処理に向いています。
データベースの内容を変更することはできないので、データの入力を伴う処理には向いていません。
ASP形式ではフォームやレポートのデザインを元にしたWebページを生成し、VBScriptによってデータの表示・追加・更新・削除などが実現できます。
どちらの形式でもサーバーにはIISが必要ですが、クライアントは選びません。どのOSのどのブラウザからでもアクセスできます。異機種・異OSの混在するネットワークで役立ちます。
- データアクセスページ -
ネットワーク上に公開されたAccessのmdbファイルまたはSQL Serverのデータベースファイルを、ActiveXコンポーネントを介してアクセスし、データの表示・追加・更新・削除などが行えます。グラフを表示させることもできます。
Webサーバーは必須ではなく、データベースとHTMLファイルがネットワーク上に公開されているだけで構いません。但し、ブラウザはIE5以上に限定されます。
Windowsマシンが中心となっている(またはWindowsだけで構成された)ネットワークで、データベースの変更を伴う動的な処理を行いたい場合に向いています。Windows以外のクライアントOSが多数を占めている環境では、あまり役に立ちません。
- データアクセスページが便利 -
こう眺めると、データアクセスページが、いわゆる「一般的なWebアプリケーション」とは趣を異にしていることがお分かりいただけるでしょう。データベースとそれにアクセスするHTMLファイルとが、ネットワーク上に公開されていればよいのです。
Webサーバーやデータベースサーバーを特別に設定する必要はありません。イントラネットではない通常のWindowsネットワークで、一般的なファイルサーバーの共有フォルダに、これらを保存するだけでも動作します。
そのため、Webサーバーの設定などTCP/IPネットワークの知識・技術を持っていなくても、Accessでアプリケーションを作ることが可能なら、データアクセスページでWebアプリケーションを作成できます。
もちろん、ここで言う「Web」とは、Windowsを中心としたネットワークだけで有効な、極めて範囲の限定されたネットワーク上でのWeb――ということになります。
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