WebアプリケーションはWebサイトの一部です。Webアプリケーションだけで完結する訳ではありません。Webサイトには、組織内ネットワークで稼働する業務目的のものと、インターネットで不特定多数のユーザーを対象としたものとがあります。
- Webサイトが扱いやすさを左右する -
インターネット・サイトの場合、Webアプリケーションだけが優秀でもサイト全体が扱いにくければ、ユーザーはWebアプリケーションを扱う前にサイトから離れてしまいます。この点は非常に重要です。
組織内ネットワークの場合、サイトのデザインや操作性が多少悪くても、ユーザーは「これは仕事なのだから」と割り切り、我慢して使ってくれるはずです。しかし、作業効率は芳しくないでしょう。
Webアプリケーションのユーザーインターフェイスに対する印象は、その動作環境であるWebサイトとWebページの扱いやすさに左右されます。同じ仕事をするのなら、誰だって扱いやすい方がいいに決まっています。
嫌だなーとか、扱いにくいなー、煩わしいなーと感じながらでは、気持ちよく操作できる訳はありません。ユーザーの注意が散漫になり、結果、入力ミスやボタンの押し間違えなどが頻発し、訂正処理が増えて業務の進行が遅れます。
- Webアプリの2つの<場所> -
Webサイトのデザイン技法そのものは、本稿のテーマではありません。しかしながら、扱いやすいWebアプリケーションを考える上では、その実行環境であるWebサイトのデザイン、使い勝手までを含めて考える必要があるでしょう。
WebアプリケーションはWebサイトの一部なのですから、アプリケーションの設計段階では、基本的な入出力仕様の他に「それ(Webアプリケーション)がWebサイト全体のどこに位置するのか」を把握しておかなければなりません。ここでいう「どこ」という場所の問題には、サイトの階層構造中どのページに配置されるか――という<固定的な場所>の他、ユーザーがどのような情報を閲覧している過程でWebアプリケーションを操作する局面に出会うのか――という<流れの中での場所>の問題も含まれています。
組織内の業務処理なら話は簡単です。理由はすぐにお分かりいただけるでしょう。業務処理のためのWebサイトでは、個々のアプリケーションの場所(先述した2つの意味での場所)は非常に明白だからです。「在庫数を確認したい」「先月の支店別売上額を確認したい」などなど、ユーザーは明確な目的を持ってそのためのアプリケーションを実行するWebページにアクセスします。
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