配列への値の代入
配列は同じ型の変数が並んだものですから、個々の要素の扱いは通常の変数と変わりません。まず、値の代入方法を紹介します。
配列の初期化
配列の個々の要素に値を代入するには、以下のように代入演算子=を使います。
num[0] = 100;
num[1] = 200;
num[2] = 300;
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もちろん、通常はこんな悠長な記述はしません。配列の宣言時にすべての要素の値を示し、初期化することができます。
unsigned short int num[] = {100, 200, 300, 400, 500, 600};
{ }内に値を「,」で区切って列挙するだけです。このようにすれば、[ ]内に最大要素数を示す必要はありません。{ }内に列挙した値の数だけの要素が自動的に確保されます。この場合、配列の各要素と添字の関係は図2のようになります。
各要素への代入
配列の各要素に規則性を持った値を代入するには、forループを使うのが便利です。例えば、10個の要素を持つunsigned short int型の配列に、100・200・300……と100ずつ増加する値を代入する処理は、リスト1のように記述できます。
カウンタ変数iは0から1ずつ増加するので、その値を配列の添字に使い、同時に(i + 1)の100倍を添字で示す要素の値として代入します。
継続条件は「i < 10」となっているので、iが9になるまでループが繰り返され、10になったら処理をせずにループを抜けるので、配列のすべての要素に値が代入されます。
リスト1:配列に100ずつ増加する値を代入していく(ex2201.c、EX2201.EXE)
unsigned short int num[10]; /* 整数を格納する配列 */
int i; /* カウンタ変数 */
for (i = 0; i < 10; i++) {
num[i] = (i + 1) * 100;
}
この処理を実行形式としたソースは、"ex2201.c"というファイル名でサンプルに収録しています。
キーボード入力を要素に受け取る
キーボードやファイルから順次数値を読み込み、それを配列に格納していく処理もforループで対応できます。キーボードから順次数値を読み込んで、それを配列に格納していく処理はリスト2のようになります。
キーボード(標準入力)からの入力にはgets関数を使って文字列として受け取り、それをatoi関数で整数に変換します。それぞれの関数の書式は以下のようになっています。
char *gets(char *);
標準入力から受け取った値を、引数のchar型ポインタが指す配列にNULL(\0)終端の文字列として格納します。エラーの場合はNULLが返ってきます。
int atoi(const char *);
引数を数値を表す文字列として受け取り、それを整数に変換して返します。
引数の前に記述されている"const"は、処理の中で値を直接変更できないようにする修飾子です。
リスト2:標準入力から受け取った数値を配列に格納する~for版(ex2202.c、EX2202.EXE)
unsigned short int num[10]; /* 整数を格納する配列 */
char buf[256 + 1]; /* 文字列を格納するバッファ */
int i; /* カウンタ変数 */
for (i = 0; i < 10; i++) {
printf("Input number : ");
(void)gets(buf); /* 文字列を受け取る */
/* 受け取った文字列を整数に変換して配列に代入 */
num[i] = atoi(buf);
}
この処理を実行形式としたソースは、"ex2202.c"というファイル名でサンプルに収録しています。
配列名は先頭アドレスを示す
文字列を受け取るgets関数は、以下のような形で使われています。
(void)gets(buf);
gets関数の引数はchar *型(char型のポインタ)ですが、ここではchar型配列の名前"buf"をそのまま使っています。配列の名前はその先頭のアドレスを保持しています。ポインタもまたアドレスを示すので、このような使い方ができるのです。
なお、ポインタとアドレスの関係などについては、回を追って詳しく解説します。ここでは、
引数にポインタが指定されている場合
同じ型の配列名を使用できる
ことを知っておいてください。
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