SQLの基礎からリレーション設定まで、ひととおり説明してきました。単純なようで奥の深いSQL。まだまだ紹介することはたくさんあるのですが、ここで、これまでに取り上げた基本的なSQLを、アプリケーションから利用する方法を紹介しておきましょう。
プログラミング環境には、Visual Studio .NETのVisual Basic .NET(以下「VB .NET」)を使い、ADO.NETによる接続と制御を試します。
プログラミングそのものは本コラムのテーマではないので、Visual Studio .NETの基本操作やVB .NETによる開発技法の詳細は割愛し、ADO.NETによるデータベース制御の概要を中心に紹介します。
サンプル・データベースとサンプル・アプリケーションの扱いについて 第9回以降、新しいサンプル・データベースを使っているのでご注意ください。新しいサンプル・データベースの登録方法については、第9回の記事から「新しいサンプルデータベースの準備」の項をお読みください。
今回は、VB .NETによるサンプル・アプリケーションを作成します。プロジェクトファイルをダウンロードし、任意のフォルダに解凍してください。サンプルのプロジェクトは“ex10”と“ex02”という名前のフォルダに保存されます。
ソースコードを入力して実際にプログラミングを試す場合は、パソコンにVisual Studio .NETがインストールされている必要があります。
Visual Studio .NETでプロジェクト(ex01.slnとex02.sln)を開いてもフォームデザインやソースコードが表示されない場合は、「ソリューション エクスプローラ」で“Form1.vb”をダブルクリックしてください。フォームデザインが表示されます。この状態でフォームをダブルクリックすればソースコードが表示されます。
出来上がった実行形式ファイルを試すだけの場合は、拡張子.exeのファイル(ex01.exeとex02.exe)をダブルクリックしてください。なお、サンプルを実行するにはパソコンに .NET Frameworkがインストールされていなければなりません。
また、SQL Serverはローカルで稼働していることを前提にしています。環境が異なる場合は、ソースコードの該当箇所(本文で示します)を適宜書き換えてください。
サンプル・アプリケーションの概要 今回は、2つのサンプル・アプリケーションを作ります。それらの概要を紹介しておきましょう。
どちらも、サンプル・データベースの「商品_mr」テーブルから「商品ID」をキーにしてレコードを抽出し、フィールドの値(商品名など)を表示するという、至ってシンプルな仕様です。
1. |
ユーザーの入力した「商品ID」をキーに「商品_mr」テーブルからレコードを抽出し、品名と販売単価を表示する |
2. |
ユーザーの入力した「商品ID」をキーに「商品_mr」テーブルからレコードを抽出し、品名、仕入先名、在庫数を表示する |
1.は非常に単純なレコード抽出処理、2.は「仕入先_mr」と「在庫_mr」をリレーションさせた上でのレコード抽出で、どちらもSELECT命令が基本となります。
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- 目次 -
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ADO.NETによるデータベース制御の基本 |
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データベースとConnectionクラス |
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sqlConnectionクラスのオブジェクト |
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各オブジェクトの働き |
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データベース制御の流れ |
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サンプル(1)~ex01 |
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フォームのデザイン |
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アプリケーションの構造 |
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btnSearch_Click~コマンドボタン“btnSearch”のClickイベントを処理 |
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Search(1)~オブジェクト変数の宣言 |
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Search(2)~データベースの接続 |
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Search(3)~SQLの発行 |
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Search(4)~処理結果の表示 |
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Search(5)~例外処理と後始末 |
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サンプル(2)~ex02 |
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3つのテーブルを関連付ける |
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btnSearch_Click~SQLの変更 |
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Search~結果表示の変更 |
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あとがき |
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