データ操作の基本は抽出にあると説明してきました。しかしデータを抽出するためには、まず対象となるデータ群を作らなければなりません。データを作る――テーブルにレコードを追加することが、データ加工の第一歩です。
- 問い合わせだけでは仕事にならない -
SQLの基本と言えるSELECT命令は、元のデータベースに変更を与えません。ただ、テーブルから指定したレコードを、指定した形式で抽出するだけです。パラメータの指定によってレコードの並び順やフィールド構成を元のテーブルとは異なる形にできますが、抽出結果は元のテーブルとは別のレコードセットに保持されるため、テーブルの内容が書き換えられることはありません。
既に説明したように、SQLは元々は「Structured Query Language――構造化照会言語」の略とされていましたが、現在では“SQL”が正式名称となっています。元の名称が「照会言語」であったように、SQLの基本は「データベースに対して条件などを指定し、それを満たすデータを照会する(問い合わせる)こと」でした。
その機能は、まさにSELECT命令が実現するものです。しかし、問い合わせるだけでは仕事になりません。
- データの蓄積こそが基本 -
そもそも、問い合わせるためには問い合わせに応えられるだけの“元データ”が必要です。元データを蓄積するためには、テーブルにレコードを追加しなければなりません。追加したレコードの内容に間違いがあれば、レコードを削除したり、フィールドの値を書き換えたりしなければなりません。
追加・削除・書き換えの処理は、元のデータベースの内容を変更します。これらの機能がなければ、基本機能である「問い合わせ」自体が実現できません。見方によっては、基本機能以上に重要な機能です。
これら3つの機能は、テーブルを加工します。単にデータを参照(SELECT命令による問い合わせ)するだけでは業務は前に進みませんが、データを加工することで既存のデータから新たなデータが生まれ、蓄積されていきます。
- 3つの加工命令 -
SQLでは、データを加工するために以下の3つの命令が用意されています。
INSERT:レコードの追加
DELETE:レコードの削除
UPDATE:フィールドの更新
UPDATE命令の機能は、既存レコード内の特定のフィールドの値を書き換えることです。これを「更新」と表現します。一般に、更新と言えば「最新の状態にする」ことを意味しますが、過去の内容に書き戻す場合でもフィールドの値を現在とは違う内容に書き換える――という意味で「更新」と呼びます。
では、各命令を順に説明しましょう。まずはレコードを追加するINSERT命令です。併せてテーブルを作成する命令も紹介しておきます。
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