「データベース」という言葉は、現在でもかなり曖昧に用いられています。冒頭で述べたように紙に記録された情報の集合もデータベースと呼ばれますし、コンピュータで扱われる電子情報の場合も、RDBMSの管理するリレーショナル・データベース以外にもいろいろなファイルがデータベースと呼ばれています。
業務処理に用いられる本格的なデータベースでも、情報技術の発展に伴って様々な形式が開発され、実用化されてきました。代表的なデータベースを紹介しておきます。
- 階層型とネットワーク型 -
初期のデータベースによく採用されたのは、階層型・ネットワーク型と呼ばれるデータベースです。
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階層型データベース(Hierarchical Database)
個々のデータ同士のつながりが階層構造を成すデータベースです。データはレコードまたはセグメントと呼ばれ、親子関係を構成します。上位階層に属する親は複数の子を持てますが、下位階層に属する子は1つの親しか持てません。
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ネットワーク型データベース(Network Structure Database)
網型データベースとも呼ばれます。階層型データベースの発展形で、子も複数の親を持てるようになっています。事務用プログラミング言語COBOLを生んだCODASYL(データシステム言語協議会)の提案した「CODASYL型データベース」が代表的です。
“ネットワーク型”という表現はデータ連携の様子を表したものであり、LANなどのコンピュータ・ネットワークとは関係ありません。 |
- カード型データベース -
初期のパソコン用データベースでは、カード型と呼ばれるシンプルな構造のものが一般的でした。
1件のレコードを1枚の票(カード)に見立てる形態のデータベースです。レコード同士のつながりを設定できないため、個人用住所録など小規模な処理にしか使われません。処理能力の低かった初期のパソコンでは、これが精一杯でした。
- リレーショナル・データベース -
リレーショナル型データベース、関係データベースとも呼ばれます。
行(レコード)と列(カラム)によって構成された表形式のデータの集合(テーブル)を、互いに関連付けて操作します。
操作対象のデータ(テーブル)とその扱い方(リレーションやビュー)とを切り分けたことで、非常にシンプルなデータ構造でありながら、テーブル同士の関連付けによって複雑なデータ構造を構築できることが、大きなメリットです。
現在、業務処理に最も有効で最も一般的な形態のデータベースと言えるでしょう。
- オブジェクト指向データベース -
データとそれを扱う処理とを一つにまとめ、オブジェクト(操作対象物)として扱えるデータベースです。文字だけではなく、画像や音声も扱えるため、複雑なデータを管理できます。
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